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民事事件

三菱樹脂事件(採用の自由と思想・信条)

学生時代の活動を隠していたというだけの理由で、内定が取り消された新入社員。会社には、誰を採用するか完全に自由に決める権利があるのか?

最高裁判所大法廷・1973年(昭和48年)12月12日・最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁

事件の概要

大学在学中に三菱樹脂株式会社の入社試験に合格した男性は、入社にあたり学生運動などへの参加歴について事実と異なる申告をしていた。会社側はこれを理由に、3か月の試用期間終了後、本採用を拒否した。男性は、実質的には思想・信条を理由とした不当な差別であるとして、労働契約上の地位確認を求めて提訴した。

法廷でのやり取り

👨‍💼 原告(新入社員)
学生運動歴を隠していたというだけの理由で、本採用を拒否されました。思想・信条による不当な差別です。
🧑‍⚖️ 被告(会社側)
採用選考において、申告内容に虚偽があったことは重大な問題です。どのような人物を採用するかは、会社の自由な判断に委ねられるべきです。

📜 憲法が保障する自由や平等は、会社と個人の関係にもそのまま適用されるのでしょうか。

あなたが裁判官なら?

憲法はやを保障しているが、私企業が労働者を採用するかどうかを判断する場面でも、この憲法上の権利は直接及ぶか。企業には自由にどのような人物を採用するか決める自由があるか。

※ このコンテンツは教育・エンターテインメント目的で実際の判例を簡略化して紹介しており、法的助言ではありません。用語の下線をタップすると、やさしい解説が表示されます。

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裁判所の判断

最高裁大法廷は、企業の採用の自由を広く認め、原審に差し戻した。

そう判断した理由

最高裁は、憲法が保障する思想・信条の自由や平等原則は、本来は国家と国民の関係を規律するものであり、私人(企業)と私人(労働者)との関係には直接は適用されないとした。そのうえで、企業にはどのような人物を雇うかを決める「雇入れの自由」があり、特定の思想・信条を持つ者を理由に採用を拒否すること自体は、直ちに違法とは言えないと判断した。

この判例が持つ意味

憲法上の人権規定が私人間(会社と個人など)の関係にどこまで及ぶかという「私人間効力」の議論における最重要判例のひとつ。就職差別やハラスメントを考える出発点として、今も法学部の授業で必ず取り上げられる。

この事件の出典

最高裁判所大法廷 1973年(昭和48年)12月12日 判決
最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁

判例の内容は要点をやさしく言い換えたもので、判決文そのものではありません。教育・娯楽を目的とした紹介であり、法的助言ではありません。